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Place: New York

映画『ノルウェイの森』

アートカテゴリ:  Movie

映画『ノルウェイの森』記者会見が外国特派員協会内にて行われ、米国、カナダ、クロアチアなど11カ国から100人が参加した。会見には、トラン・アン・ユン監督、菊地凛子、水原希子、小川真司プロデューサーが出席。フランス語、英語、日本語が飛び交う国際色豊かな会見となった。

 

 

「16年前に初めて小説『ノルウェイの森』をフランス語で読んでから、ずっと映画化したいと思ってました」とまずトラン監督が口火を切り、続いて小川プロデューサーが「03年の終わりから動き始め、04年5月に(原作者の)村上春樹さんとお会いすることができて、4年かかって村上さんからOKがでました」と長い時間をかけて、了解を取り付けた事を打ち明けた。菊池氏も「どうしてもこの役(直子)がやりたかった。この映画が世界中で公開されて欲しいと願っています」と思いを明かした。

 

また世界的なベストセラーであるこの小説を映画化するにあたり、「納得できる作品を作るために、ビートルズの権利を含め、僕が通常制作する予算の約5倍かかっています」と答え、会場から思わずどよめきがもれた。アスミックエースというインディペンデントの力だけでは及ばないと考えて、フジテレビジョンからも資金協力を得た上、東宝が配給協力をすることを説明。それを受けてトラン監督が「もし映画が成功すれば、トラン・アン・ユンが成功させたということになり、成功しなければ、村上春樹の小説でも、成功しないことがあるのだな、と言われると思います」といい、会場の笑いを誘った。

 

 

ドイツ人女性記者から「映像がたいへん美しかったのですが、強いストーリーを損なわない秘訣は」との質問が出た。トラン監督は「美しい映像を撮ろうとするのではなく、自然でリアルであることが重要で、美しい膚を撮るのではなく、美しい膚を感じさせることが重要だと思っています」と答えた。それを受けてクロアチア人記者が、「膚の存在が官能的でジェントルで、俳優達の感情まで理解できるように感じました」との意見を述べると、トラン監督は「そう感じていただいたのは光栄ですが、それはあなた自身の解釈であると思います。もっと技術的なことが重要で、今回の撮影は35ミリのフィルム撮影ではなく、HDで撮影しているんです。なぜなら、もっとも素肌っぽく撮れると思うからです。撮影監督(リー・ピンビン)はフィルム撮影が好きで、今までHDで撮影をした経験がなかったですし、納得させるため話し合いをしました。彼も新しいことにチャレンジすることがすきなので、最終的には納得してくれました」とHD撮影のいきさつを含め撮影方法を明かした。

 

脚本への質問にトラン監督は「初めはフランス語で書いて、それを英語に翻訳し、また日本語に直すという作業を行いました」と多国籍映画ならではの苦労話も飛び出した。記者会見は1時間25分に及び、積極的に質疑が飛びかった。

 

『ノルウェイの森』は1987年に刊行されベストセラーとなった村上春樹の代表作「ノルウェイの森」を、映画『青いパパイヤの香り』『夏至』などで知られるトラン・アン・ユン監督が映画化。第67回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品された。

 



Text & Photo: Emi Ueyama