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Place: Shanghaie

上海現代アート発祥の地: M50

近年、世界中から注目を浴び、莫大な外貨を稼ぎ出している中国のアート市場。それに着目した中国当局はアートにおける表現の自由を容認し、市場の活性化を推進する方針を打ち出した。それに伴い、中国のアート市場は肥大の一途をたどっている。


急速な経済発展の渦の中で異様なまでのエネルギーを放つ大都市、上海。そこには無数のギャラリーがひしめき合うアートスポットや、日々進化を続けるアートシーンが存在する。この街で今、「莫干山路50号倉庫群 (通称 M50 )」と呼ばれるエリアが人々の注目を集めている。



莫干山路50号 倉庫群 (以下M50) は上海駅より歩いて15分ほどの距離にあり、蘇州川という澱んだ河川の沿岸に位置する。ここはかつての紡績工場跡地で、2002年から市政府の指導により広大な空間を利用した現代アートスペースとして変貌を遂げた。かつては「春明芸術産業園」という名称だったM50は、凄まじい勢いで変貌し続ける上海の開発地区の1つであり、絶え間なく稼動し続ける工場施設と共存している。



経済発展の著しい大都会の様相に反して、地元住民の生活感が漂う、古びて雑然とした街の隅にM50は在る。広々とした空間と、昔の面影を残す建築が醸し出す不思議な魅力に引き寄せられるように、どこからともなく画家やデザイナーたちが次々と集まる。エリア内にはいくつもの棟が立ち並び、中国国内だけではなく、世界各国から集まった120軒余りの画廊やアトリエ、カフェなどがひしめき合い、それらが内外から集まる情報の交換の場としての役割も果たしている。



今から2年前、ここM50で行われた非営利アートプロジェクト「Matchmaking At Suzhou Creek」には、自らをプロデュースして国際舞台で活躍する22人のアーティストが世界中から集まり、現地の中国人アーティストとの期間限定の異種文化共同体を作り上げた。このプロジェクトがアーティスト同士の親密な共同生活をそのままプロジェクトに反映したことで話題を呼び、M50の知名度を一気に押し上げるきっかけにもなった。


上海という街では、森羅万象、ありとあらゆるものが渾然一体となり、そこから生み出されるパワーが人々の生活や経済だけでなく、上海のアートシーンをも加速度的に成長させている。M50はまさにその中心的存在であり、そこで目にするものはまさしく、現代に息づく上海アートシーンの真の姿に他ならないのだ。


莫干山路50号 (M50) http://www.m50.com.cn/



text & photo: Hiromi NAKAMURA