Places

 
Place: London

Desigm Museum

アートカテゴリ:  Design

ロンドンの中心部、テムズ川沿いのやや入り組んだ通りを抜けたところに、バトラーズ・ワーフと呼ばれる地区がある。そこは以前貧しい倉庫街であったが、現在は、イギリス出身のデザイナー、テレンス・コンランの手によって、お洒落な雰囲気のエリアへと変貌を遂げつつある。その街並みの一角に突如現れるミニマルなデザインの真っ白な建造物、これがロンドンのデザインの歴史を象徴する「Design Museum」だ。


ミュージアムでは、恒例の「DESIGNER OF THE YEAR」展が開催されていた。このイベントは、イギリス出身もしくは現在イギリスで活躍するデザイナー、デザインチームやプロジェクトを対象とし、その中から特に優れた活動を行ったデザイナーを投票によって選び出す。優勝者には賞金£25,000が与えられるという注目の一大イベントだ。


本年度はThe Guardian(イギリスの高級紙「The Guardian」のエディトリアルデザイン),ヴァーチャル・バンド「GORILLAZ」のヴィジュアルを手掛けた鬼才アニメーターJamie Hewlett、国際的な人道救済活動で知られる建築家Cameron Sinclair、イギリスを代表するプロダクトデザイナーTom Dixonといった顔ぶれがノミネートされた。投票のシステムは、5人の審査員による投票の他に、誰もが気軽に参加できる一般投票制も導入しており、ウェブ上でも簡単に投票することができる。


別のフロアでは、ロンドンが生み出したデザインコレクションの数々が展示されている。その中でも特に注目したいのはデザイナーズチェアーの数々。プレイステーションやテレビ用に作られたというTom Dixon「Playstation chair」をはじめとして、S字型に弧を描いたボディーに1本脚で立つ「S Chair」。冠型のメタル製の「Crown Chair」。ハートがそのまま形となった、Ron Aradによる「Soft Heart」など、ユニークで個性豊かな作品が並ぶ。


また、ロンドンのアートの代表ともいえる“ロック”にまつわるデザインのコレクションも見逃せない。1980年の創刊以来ロンドンのロックシーンを綴ってきた、ファッション・カルチャー雑誌「i-D」による、ロンドンっ子のロックヘアスタイルや、「Beatles」「Rolling Stones」に代表されるアーティストのレコードジャケットなどが、ロンドンのロックの歴史を象徴する要素の一つとして紹介されている。


その他にも、ロンドンのシンボル的存在である赤い電話ボックス、町並みに溶け込む赤い2階立てバスや、長い歴史を持つ地下鉄マップなどのデザインを通して、ロンドンの人々の暮らしを肌で感じることができる。そしてさらには、2012年のオリンピック開催に向けて進められている話題の「オリンピックパーク」のプロジェクトの紹介もあり、現在、過去、未来と、ロンドンのデザインの歴史を余すことなく堪能できる。


もはやデザインは、私たちの日常生活とは切っても切り離せない存在だ。この「Design Museum」に訪れると、人類がデザインと共に歩んできた歴史や、いかにデザインが私達の暮らしに彩りを与え、そして塗り替え、より快適で豊かなライフスタイルを提供し続けてきたのかを改めて認識させられる。



text & photo: Yuka TAKAO