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Place: Tokyo

第28回東京国際映画祭レポート

アートカテゴリ:  Film, Movie

10月末とはいえ、まだ暑さの残る22日から31日まで第28回東京国際映画祭が開催された。

 

今年のオープニング作品に選ばれたのは、ロバート・ゼメキス監督、ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演の『ザ・ウォーク』。ニューヨークにあった当時世界一の高さを誇った世界貿易センタービルを、命綱なしで綱渡りに挑戦したフィリップ・プティの壮絶な体験を3Dで見せる意欲作である。

 

日本にもそれぞれに趣向を凝らしたたくさんの映画祭が存在する。その中でもひと際注目を集める東京国際映画祭には、毎年各世代の映画ファンや世界各国からの映画関係者らが集い、東京の街を映画色に染める。そうやって10日間賑わいをみせた今年の映画祭は、直木賞作家・桜木紫乃の小説を、佐藤浩一と本田翼の共演で映画化した『起終点駅ターミナル』で華やかに幕を閉じた。

 

東京国際映画祭の目玉は、やはりコンペティション部門。計20本の映画がそれに名を連ねたが、最優秀作品賞である「東京グランプリ」は、常識にとらわれない画期的な療法を試み男性優位社会に立ち向かう女性精神科医を描いたブラジル映画『ニーゼ』に贈られた。女性精神科医の役を演じた主演のグロリア・ピレスは、本映画祭で最優秀女優賞も受賞している。

 

その他映画祭のコンペティション部門には、戦前にフランスや日本などで活躍した先鋭的画家“藤田嗣治”の半生を描いた小栗康平監督作『FOUJITA』、原子力発電所の爆発が原因で荒廃していく日本を描いた平田オリザの原作を、実物のアンドロイドの出演で映画化した深田晃司監督作『さようなら』、山本周五郎賞を受賞した小野不由美原作小説を中村義洋監督が映画化した『残穢【ざんえ】〜住んではいけない部屋 〜 』といった3本の日本映画が出展されたが、日本勢は苦汁を飲む結果となった。

 

東京国際映画祭は、1985年の第1回開催から30年の間に様々な変貌をとげてきた(第1回から第4回までは隔年開催で、それ以降は毎年開催されるようになった)。元々はこの映画祭を若者世代に身近なものにさせるために渋谷BUNKAMURAで開催されてきた映画祭は、六本木ヒルズのオープンにともない、2004年から渋谷と六本木で開催されるようになり、そして2009年には、ついにTOHOシネマズを映画祭の核とし、六本木ヒルズが単独のメイン会場になり、六本木ヒルズ内で様々なイベントが行われるようになった。カンヌやトロントなどの各国の様々な国際映画祭でも隣接する会場で映画の上映やイベントが行われている。

 

今年から東京国際映画祭の会場として新たに加わったのは、様々な年齢層や国籍の人々が行き交うエネルギッシュな新宿。新宿では、巨大映画館バルト9がメイン会場となっている。その横では2日間にわたり若い世代をターゲットとしたファッションショーが開かれるなど、映画に負けず劣らずの盛り上がりをみせた。

 

新宿には、今なお拡大し続け、人々が“迷宮”と称するほど様々な路線が混ざり合う電車やバスターミナルがある。だからこそ新宿にはいろいろな文化や人が集中し、多彩な価値観が運び込まれてくる。そんな新宿も2020年に予定されている東京オリンピックに向けてさらに変貌を遂げていくはずだ。東京国際映画祭のメイン会場が新宿に移り変わる日もそう遠くないかもしれない。

 

テキスト by 神戸郁郎

 

東京国際映画祭オフィシャルウェブサイト

 

©Tokyo International Film Festival

©2015 桜木紫乃・小学館/「起終点駅 ターミナル」製作委員会

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