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Place: New York

モノグラムを水玉に変えたアーティストー草間彌生

アートカテゴリ:  Visual Art, Painting, Sculpture, Installation

現代美術において、日本人として世界の舞台に名を馳せたアーティストの一人、草間彌生。

 

 

10代の頃から水玉モチーフで絵を描き始め、1957年にニューヨークに移り住む。その後、ファッションショーやボディペインティング、はたまた反戦運動やスキャンダラスな行動と共に、草間彌生の名は日本のみならず世界に知れ渡ることになる。友人の死をきっかけに、1973年帰国。その後も野外彫刻を手がけたり小説を執筆するなど、その才能はとどまるところを知らない。

 

多様な企業とコラボレートをすることでも知られている彼女が、今回コラボレートパートナーに選んだのは世界的ブランド「ルイ・ヴィトン」。その名も「ルイ・ヴィトン ヤヨイ・クサマコレクション」。そして今、ニューヨーク五番街のルイ・ヴィトンのショーウィンドウはまさに水玉一色となって道行く人を楽しませている。同時にニューヨークでは15年ぶりとなる彼女の大回顧展がWhitney美術館で開催されている。

 

 

ニューヨーク5番街のルイ・ヴィトン

 

草間彌生と言えばほとんどの作品を自身で所有しており、それらはまたオークションなど世に出回ることがないことでも有名だが、今回の展示会にあたっても草間自身が全ての作品を提供している。その数は「大回顧展」の名にふさわしく、彼女の芸術家としての半生で作り上げられた作品が惜しげ無く展示されている。

 

 

展示会場に入ってまず目に飛び込んでくるのが壁一面に飾られた絵画の数々。10枚以上にもなるそのカラフルな空間から、草間彌生ワールドへ吸い込まれていく。

かたや男性器を思わせる物体を余す所無く敷き詰めた真っ白な家具や装飾品の数々。これだけの数を一度にしかも同じ空間に並べられている姿もまた、シンプルな空間にありながら草間ワールドを感じられる貴重な体験となるだろう。

 

真っ白に塗られた造形作品とまぶしいばかりの照明が相まって、どこか別世界の部屋にでも招待されたかのようだ。

 

その他にも彼女自身がプロデュースした自身の映像作品や、ニューヨーク時代の友人からの手紙。そして多数の作品に施された草間の水玉モチーフが目を惹く。

 

彼女の作品に共通して言えること、それは人それぞれにある内面的な”陰”の部分の表現の面白さ。草間自身それをフィルターを通すこと無く作品に落とし込んでいる。ポップかつファッショナブルでありながらも決してそれだけではない。偽りでない本質的な奇妙さと芸術家としての逸脱した才能がそこにはある。

 

草間の得意とする幾何学的な模様で見る人を惹き付ける大型のシルクスクリーン

 

日本ではニューヨーク時代の奇行の数々、幼少期からの幻想や幻覚症状という病的側面から、異端児アーティストとして扱われることも少なくない。しかし草間彌生の作品を実際目にすれば、彼女が本物のアーティストだということを感じられるだろう。

 

現在、世界各国で行われてきたこの回顧展がニューヨークで幕を下ろそうとしている。9/30までWhitney Museumで絶賛開催中のこの大回顧展は、ニューヨークでもさまざまなメディアに取り上げられ話題を呼んでいる。この機会に是非、日本が誇るアーティスト草間彌生の世界に酔いしれてほしい。

 

text by Kanako Hashiguchi

photo by James Sakai, Atsuko Furue