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Place: Paris

伝統工芸文化バカラの町:アートで地域活性化

アートカテゴリ:  Installation

「FIMA(Festival International des Métiers d’Art)」は、バカラの町が主催する工芸品のアートフェスティバル(ビエンナーレ)である。

 

バカラはパリから東へ400キロメートル、ドイツ国境近くのローレヌ地方にある、人口約4700人ほどの小さな町だ。高級クリスタルで知られるバカラ(Baccarat)社発祥の地でもある。

 

 

 

バカラ社の名前の由来は1764年、ルイ15世に許可されメス司教がつくったガラス工房が、クリスタルやガラスの製造で有名になるにつれ、工房の名が町の名をとり「バカラ」と呼ばれるようになったことが始まりだ。通称「クリスタル通り」とも呼ばれるメインストリートは、その名の通りバカラ社のショップのほかにも、クリスタルの専門店が軒を連ねている。

 

 

 

2008年よりバカラが市長に就任したマダム・ルノーは、バカラの町だけでなくロレーヌ地方全体の伝統文化、職人文化、世界遺産建築等を利用し、低迷した経済を促進させる政策を打ち出している。今回、独占インタビューに応じてくれたバカラ市長。ピンクのスーツに身を包み、パールピンクの爪、指にはめたバカラの指輪が印象的な彼女が、バカラの町の未来について情熱的に語ってくれた。

 

バカラの町を文化発信の地としてどのように発展させていきたいですか?

 

市長:私にはバカラの市長として夢があります。それはバカラを世界的に有名な町にし、世界中からたくさんの人に訪れてもらうことです。バカラの町はバカラ社と比べ、残念ながら名前がそれほど知られていません。しかし、バカラの町のもつ財産は高級クリスタル製造だけではありません。クリスタル以外の素材、メタル、布、陶器、木等を利用した工芸もさかんなのですし、素晴らしい建築もあります。この町には、国家最優秀職人賞を受賞した職人(Meilleur Ouvrier de France)が24名もいるのです。またそこには当然、職人を支えてきた家族がいます。私はそれら全てを世に知ってもらいたいのです。

 

それにはバカラ社の協力が不可欠で、私はもう何年間もバカラ社に工場の一部を解放し、一般の人も見学ツアーができるようにするよう交渉してきました。職人の卓越した世界最高級の魅力的な伝統技術を見学してもらいたいからです。しかしながら、現在まで誰も職人の家族や友人までもが見学ができていません。バカラの町には光と陰があるのです。

 

バカラはフランクフルト空港から車で3時間、またルクセンブルグも近い。まさにヨーロッパの中心に位置する町です。

 

市長:そのためにコンサートと芸術、舞台、工芸を合わせたフェスティバルを企画しています。ただ問題点は、観光客を受け入れるにはバカラの町にもっとインフラが必要なことです。今、私はビジネスパートナーや投資家を強く求めています。観光客が楽しめる高級ホテル&スパの建設、地場地産の食材を使った仏料理やワイン等のプロジェクトも進めています。さらに、バカラの周りにはもう使っていない古い建物がたくさんあります。そこをアーティストや工芸職人に解放し、製作スタジオとして利用してもらい、アーティストのスタジオビジットや、旅行客も参加できるアートスクール等も開催したいと思っています。

 

また、バカラから電車で約30分のところにある、世界遺産をもつアールヌーボー発祥の地ナンシーにはエミール・ガレの作品、メッツには世界遺産の大聖堂の中にシャガールのステンドグラス、ポンピドー・センターメッツ(現代アート美術館)も、パリからTGV で1時間30分。こういったロレーヌ地方の他の町とも連携をとり、パリから足をのばす「ツーリズム」も仕掛けていきます。

 

バカラの町はムルト川沿いにあり、まるで絵本から抜け出たような豊かな自然に囲まれ、深い伝統文化が息づいている。「私は私の夢が実現する事を信じ、努力し続けます!」と、市長は輝く笑顔で高らかに宣言した。

 

 

神戸康江(Yasue Kobe)

フランス伝統工芸文化保存/伝承ソーシャルプロジェクト”Bleu France”日本代表。

Bleu France: http://www.facebook.com/bleufrancetimes
ニューヨーク大学 (NYU) アート学部スタジオアート学科卒。