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Place: New York

トム・サックス:「宇宙計画:火星」@パーク・アベニュー・アーモリー

アートカテゴリ:  Visual Art, Installation, Multi Media, Performance

 

ニューヨークのマンハッタン・パーク街にある、かつては軍事目的で使用されていたというこの広大な施設、パーク・アベニュー・アーモリーでは、現在トム・サックスによる「宇宙計画:火星」展が開催されている。

 

トム・サックスは1966年ニューヨーク生まれ。「hand-made piece from ready-made goods(既製品による手作りの作品)」で知られている。プラダのロゴを継ぎはぎして作られた段ボール製の水洗便器や、エルメスの包装紙で作られたマクドナルドのバリューセットなど、既製品にある硬質で消費的なイメージを扱いながらも、まるで図工の授業で作られたような温みある作品が特徴だ。今回の展示は、しっかりとアメリカンアート踏襲しつつも、まるで少年少女が作ったような夢の溢れる宇宙施設と、趣向を凝らしたパフォーマンスで存分に楽しませてくれる内容になっている。

 

 

まず観客は、会場であるパーク・アベニュー・アーモリーの、外見からでは想像のできないヨーロッパの古城のような内装に驚くであろう。そしてその空間で展示されている、人類火星移住計画の際に必要になるであろう人工植物栽培マシーン、食糧保管庫、宇宙飛行士のための娯楽施設(茶室etc)の作品群のギャップに改めて驚かされる。それはまるでキューブリックの「2001宇宙の旅」のラストシーンに紛れ込んでしまったかのよう。

 

 

さらに広い会場内を白衣を着たスタッフ達がスケードボードや自転車に乗って移動しているのが目に入る。実は、これらはパフォーマンスのひとつで、サックスのスタジオに所属する13名のスタッフにより、作品はオンタイムで手を加えられ常に変化しつづけているのだ。中でも目を引くのは、このプロジェクトの要となる実物大の宇宙船「LEM, Landing Excursion Module」である。この宇宙船は会場の奥に設置されている強化システム(Indoctrination)にて試験にパスすれば中に入れてもらえる。もちろんこれもパフォーマンスのひとつだ。さらに入口脇に設置されたシアターでは彼の映像作品を楽しむこともできる。サックスのユーモアとアイロニーが詰まったこの壮大な展覧会は、2012年6月17日まで開催中。

 

 

text & photo by Yoshiko Murakami