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Place: New York

David Opdyke: Accumulated Afterthoughts

アートカテゴリ:  Sculpture, Installation

David Opdykeによる「Accumulated Afterthoughts」展が、5月26日まで、ニューヨークのBRYCE_WOLKOWITZ_GALLERY_で開催されている。

 

 

David Opdykeは1969年NY州スケネクタディ生まれ。スケネクタディは、ALCOという機関車製造において大きな成功を収めた会社の本拠地となっていた都市だが、1969年GE社にその座を奪われALCOが機関車製造業から撤退し、それと同時に衰退を余儀なくされた、繁栄と衰退の両方を味わった都市である。Opdykeは70年代に幼少期を過ごし、急激に衰退していく産業と、それに伴い捨てて行かれる過去の遺跡を目の当たりにしたのである。こうした経験からか、彼の作品には、急激な変化や腐敗することへの強い関心がみられる。

 

今回の展示に限らず、彼の作品からは極端なまでにリアリスティックで、細部にまで凝ってつくられたジオラマを観ているかの様な印象を受ける。Opdykeがアート活動を始める前、プロの建築模型士として活躍していたというのも納得できる話である。彼はその技術を作品に遺憾なく発揮し、観る者を魅了し楽しませる。だが同時に、不安感を抱かせ目を背けたくなるという、相反する感情を抱かせるのも彼の作品の特徴である。

 

 

Opdykeの作品は、アメリカの政治の失敗をモニュメンタルに表現したものや、家や船などの残骸などによって表現された文明のゆがみを立体作品にしたもので構成されている。例えば今回展示されている「Exhibit A」では、テディベアやもつれたアイポットのヘッドホン、しぼんだサッカーボールなど、日常のありとあらゆる物がミニチュアとなってひとつのケースに収まっている。初めは楽しく観ていても、順を追ってそれらを観ていると、いかに私たちが日常の中で大量に消費し自己中心的に生活しているかということに気付かせられる。そしてそれと同時に、まぬがれられない人間の性や虚しさを感じさせるのである。「魅了」と「拒絶」、この2つの感情を、Opdykeはハイパーリアル(とてつもなく写実的)な手法で、自由に操っているのだ。

 

今回ご紹介したBRYCE_WOLKOWITZ_GALLERY_では、スタイリッシュでありながら時代感覚をしっかりと捉えた、目の肥えたアート愛好家の要求に応える展示を毎回行なっている。ニューヨークを訪れた際には、ぜひ一度立ち寄ってほしいギャラリーのひとつだ。

 

 

text & photo by Yoshiko Murakami