Interview

 
 

DJ Gomi & DJ Babyblu

アートカテゴリ:  DJ, Music

最先端をリードするDJたちによって、ニューヨークの音楽シーン、クラブシーンは日々進化している。この激動するシーンを、今ニューヨークで最もホットなゲイクラブ「XL」のレジデントDJである DJ Gomi と“Mash-Up”というDJスタイルの先駆者 DJ Babyblu が語ってくれた。



どのようにして「XL」や「B.E.D.」での仕事を手に入れたのですか?

DJ GOMI: パフォーマーでダンサーでシンガーでもあるアーティストのケビン・アビアンスと一緒に仕事をしていたんだけど、彼が「XL」のオーナーを紹介してくれたんだ。実は、世界的に有名なDJのジュニア・バスケスと知り合える機会も彼が与えてくれた。どうしてもジュニアと仕事がしたかったので、毎週彼が回しているクラブに行っては、デモを渡し続けてね。それが実ってジュニアと仕事できることになったんだ。


DJ Babyblu: 1人で必死にここまでよじ登ってきたね。マネージャーもいないし。初めは無償で、もしくはビールが飲めるというだけでプレイしたよ。それで、誰かが気に入ってくれたら、どこかのクラブで使ってくれる。そんな感じで、ここまで来るのも時間が掛かったよ。


生き馬の目を抜くようなこの街で、どのようにしてトップを維持しているのですか。

B: 闇雲にイベントに参加するんじゃんなくて、自分が求めている業界の人たちと出会えるようなイベントを選んで出かけることが重要かな。毎日、山ほどのEメールやパーティーの招待を受け取るし、その全部に出かけるのは不可能。だから、関係を続けたいと思うような人たちに会えるパーティーを選ぶんだ。


G: ラジオを聞いて、今何が流行っているのかをチェックする。それから、発売されたばかりの新しい曲を友達がEメールで送ってくれる。僕は新しい曲を使うのが好きだから、毎週レコード屋に行っては数百枚のレコードを一通りチェックするのは習慣になってるね。全部は聴けないので、さわりを聴くだけだけど。


Babybluさんは新しいテクノロジーを使うのが好きではないと聞きましたが。

B: DJはCDじゃなくて、レコードをプレーするべきだと思うんだ。僕はレコード盤崇拝者なんでね。


G: じゃあ、コンピュターも好きじゃないの?僕は、いつも新しいテクノロージーを歓迎するし、それをいち早く取り入れたいと思っている。


B: “ファイナル・スクラッチ”を使っているDJを見たことがある。それは、とても感動的なものだったし、導入したいとも思うよ。


G: “ファイナル・スクラッチ”の感想は?


B: 基本的にレコード盤だけでDJするのはとてもフィジカルな技術を必要とするよね。でも、”ファイナル・スクラッチ”を使うと、あらゆる情報をコンピューターに取り込むので、DJはただ2枚のレコードを回すだけになる。ただ作業がシンプルになる分、より可能性が生まれるとも言えるかな。


G: DJたちは独自の技術やテクノロジーを日々開発している。例えば、CDプレーヤーはターンテーブルに取って代わってきているように。それは、ターンテーブルには無い機能があるから。そういう意味では、芸術的進歩は科学的進歩と密接に関わっていると言えるんじゃないかな。


B: テクノロジーは、常に全てのことにおいて影響を及ぼすんだ。常にね。でも、それはあんまりロマンティックじゃないよね。人々はどれだけテクノロジーを取り入れて、時代を先取りしているかを考えたがる。まさにヒップホップなんかはテクノロジーがなかったら生まれなかった。


G: ベイビーブルーのテクニックといえば“マッシュ・アップ(複数の曲を一つの曲に合成する音楽製作手法の一つ)” でしょう。


B: “マッシュ・アップ”は僕の人生みたいなもの。ミックスをあらかじめ録音しておくのは、ズルしているみたいで嫌だし、パフォーマンスしてる時に録音されたCDを流すのはつまらない。いつも何かをしていたいんだ。だから、その場で“マッシュ・アップ”するのが僕のスタイルさ。


G: アカペラやインストルメンタルのバージョンはオリジナル?


B: 僕はいつもオリジナルしか使わない。例えば、ボンジョビとハウスミュージックの「スター・ダスト」のミックスとか。できるだけ違う曲を組み合わせる。つまり、コーヒーにクリームを入れるとおいしい飲み物ができるよね。反対にクリームとクリームじゃ、ヘビークリームになってしまうし、コーヒーとコーヒーじゃ苦いコーヒーができるだけだ。違うものはお互いに引き立て合うっていうのが僕の哲学。


G: ハウスミュージックをミックスする理由は曲をスムーズにするため。これで、9分の曲だって作れてしまうんだ。だから、ハウスのDJは15時間だってプレーし続けられる。


B: トイレに行きたくなるまではね(笑)。


G: そう、人で溢れ返っているところでトイレに行きたくなったら、もう悪夢だね。10分くらいのできるだけ長い曲を掛けてから(トイレに)直行するよ。


B: でも、時間って無慈悲に経つんだよね。だから、時々、男子トイレも女子トイレも関係なく、空いてるのを使うしかないことがある。もし、列ができてたら「先に行ってもいい?」とか言ってね。大体みんなナイスなんだけど、たまに嫌なやつもいる。ちょっと目を離した隙にDJブースに入り込んで、勝手にDJし始める輩もいるんだ。


他の国に比べて、ニューヨークのオーディエンスはどうですか?

G: 日本とニューヨークのお客さんを比べると、ニューヨークのほうが我がままかな?
もし、選曲を1つでもし損なったら、すぐにブーイングを始めるんだ。特にゲイクラブは厳しい。彼らは耳が肥えているので、いい仕事をしなかったら直接ブースまで来て文句を言って、そそくさとクラブを出てしまうんだ。


B: ニューヨークってのは、例えばロバート・デ・ニーロが入ってきて隣の席に座っても全く気付かないふりをするような所。ここに住んでるみんなが自分のことを恐ろしく重要人物だと思ってるんだ。ニューヨークは刺激的な街だけど、自信過剰や勘違いした人も多い。ロンドンやスペインでパフォーマンスすると、観客はただ単純に楽しみたくて興奮するんだ。それに比べてニューヨークは、シャンパン片手にベルベットのロープの後ろで、ふんぞり返ってるのがいいっていうイメージがあるみたい。


今までで、(DJをやっていて) 一番印象に残っていることは何ですか?

G: ありすぎるね。毎週何かが起こるから。でもあえて挙げるなら、田舎のクラブでの出来事かな。そこは、サウンドシステムが最悪だったんだ。それで、たまたまトイレに行ってる途中で電気が落ちちゃった。僕はトイレの最中だし、音楽は切れちゃうし、みんな踊るの止めちゃって。それが一晩のうちで何回も起こったんだ。


B: 「WAX」っていうクラブでよくプレーしたんだけど、ワックスっていうだけにロウソクがクラブ中にあったんだ。ある時、いきなり男がバーの上に立って、ロウソクを体中にたらし出したかと思うと、女の子がブースまで来て、「おニューの下着見たいでしょ」ってドレスをめくり上げたんだ。問題なのは、有名なDJたちはフレンドリーじゃなくちゃいけないってことさ。でも僕の場合、DJしてる時はあまり話にのれないんだよね。


これからもニューヨークに住み続けるつもりですか?

G: うーん、分からないな。でも、今アジアのほうは刺激的で面白くなってきてるよね。アジアの国に行くと、決まって何かが起こるんじゃないかっていう、わくわくした気持ちにさせられるんだ。いつも最も刺激的な街にいたいと思っているからね。


B: しばらくはニューヨークにいるつもり。でも、いつかは日本で住むか、少なくともそこでDJしたいと思っているよ。




text: Ayumi UEDA & Takuya KATSUMURA

photo: Akiko TOHNO


DJ GOMI

バークリー音楽学院卒業。ニューヨークのクラブ「XL」のレジデントDJ。マドンナやマライヤ・キャリー、その他多くのアーティストの曲を手がけ、伝説的なDJ、ジュニア・バスケスのメイン・プログラマー。最も新しいリミックスはジェシカ・シンプソンの”These Boots Are Made For Walkin’”に収録されている。
http://ggv.net/

DJ Babyblu

「マッシュ・アップ」というDJスタイルの先駆者。MobyやDirty Vegasなど、多くのアーティスト共演。TV、映画、ニューヨーク、ロンドン、バルセロナなどのファッションショーの音楽を手がける。
http://www.djbabyblu.com/