Interview

 
 

高木 正勝

Masakatsu Takagi
アートカテゴリ:  Visual Art, Movie

チェルシー“Transplant Gallery”で行われた展覧会 “Takagi Masakatsu+Saeko Takagi—Color of Empty Sky—” (4/29-5/26) では、高木正勝高木紗恵子の共同プロジェクトとして、最新作の『Color of Empty Sky』の初上映と同時に、“ATM Gallery” ではドローイングの展示『Zert』が行われた。

実写映像を使った映像作品が多い中で、素材から全てを作り上げたアニメーション作品『Color of Empty Sky』は、両作家の新境地を切り開く作品として注目を浴び、オープニングには多くの人が詰め掛けた。今回、高木さんはその多忙なスケジュールの合間を縫ってCOOLのインタビューに応じてくれた。



高木さんの簡単なプロフィールを教えてください。

79年生まれ、京都出身です。外国語大学の英語科にいましたが、1年で中退して、その時に知り合った仲間たちとフリーペーパーのような雑誌を作っていました。その雑誌にカセットテープで音楽を付けていたりしていたんですが、その雑誌が FMラジオ局の賞を取ってしまったんです。その頃写真をやっていたこともあって、メンバーの作る音楽に映像を付けてみようということになって。それで写真の延長という感じでビデオを始めたんですが、そのうちにそれがすごく面白くなってしまったんです。


1年ほど続けていたら12本程の映像が出来たんですが、それをたまたま東京の人が見てくれて、映像のDVDをカタログ感覚でリリースすることになりました。その頃からクラブでライブをするようになったのですが、その反響はすごかったですね。それからどんどんプロ意識が上がっていきました。もともとクラブやテクノにはあまり興味がなかったので、それからは自分の作品として音楽と映像を作り始めました。最初、音楽は映像のためのおまけだったんですが、音楽がいいと言ってくれる人も結構いて、それで今は両方が成り立っているという感じです。


今回、高木さんはトランスプラント・ギャラリーで、
奥さんの紗恵子さんはATM ギャラリーで、
それぞれ同時に展示を行ったわけですが、その経緯について聞かせて下さい。

まず、ATMギャラリーの個展が先に決まりました。トランスプラントでは、以前から僕のDVDを置いてもらっていてやり取りがあったので、この機会に同時にやってみようということになりました。また、UAのために制作したプロモーションビデオを、ひとつの作品として、美術館やギャラリーなどで見せたかったということもあります。


UAコラボレーションすることになったきっかけは何だったのですか?

(彼女が)僕の作品である『world is so beautiful』のDVDを見てくれて、それでオファーがきました。最初の作品である『Lightning』を作っている途中で、彼女に見せたのですが、思っていたのと違うと言われて(笑)。『world is so beautiful』みたいになると思っていたと言われたんです。結局、完成した時には納得してもらえましたけどね。最初の作品『Lightning』はUAから依頼を受けて作ったんですが、2作目の『Color of Empty Sky』はこちらから話を持ちかけて、あくまでも作品として作ったんです。ですから彼女の音楽だけを借りたという感じですね。『Lightning』ではUAの考えを確認しながら作り上げていったんですけど、『Color of Empty Sky』のほうでは、完全に僕たちの考えていることを形にしました。


では『Lightning』を作る過程では、UAとの話し合いはなかったのですか?

最初の 『Lightning』は、プロモーションビデオだったので、もちろん打ち合わ せをしました。でも、彼女は、影がまったくない光の中に自分がいるというイメージで曲を作ったみたいなんですけど、それが僕の中の曲のイメージと違ったんですよ。それに僕は『Lightning』を“閃光”という意味で捉えていたんです。でもそれが実 は“雷”だったということが後で分かって(笑)。それからはよく話し合いましたね。


高木さんの作品は、実写映像とパソコンで仕上げるものが多いと思うのですが、今回の作品は今までとはちょっと違いますよね?

以前は、自分で撮影してきた映像をベースに作品にしてきました。UAのビデオを作ってからは、同じやり方でも形を変えて何点か作ったりしましたね。この作品を作ってから作風が変わってきました。


『world is so beautiful』は、もともとアニエス・べーのために作ったそうです が、きっかけは何だったのですか?

これも、アニエス・ベーの会社の人が僕の作品をたまたま見てくれたんです。ちょうど日本のアニエス・ベーが、何かアートに関わることをしたいということで、それでフランスの本社から許可が出たんです。ですから何の前例もなかったので、すごく自由にできましたね。実際に関わる以前に、アニエス・ベーのショップの雰囲気がすごく好きだったので、あそこに僕の映像があったらと思っていたんです。


『world is so beautiful』の中の『Birdland』という作品について
少し教えてください。

アイディア自体は、いつも作り始めてから途中で思いつくんです。まず最初に、撮ってきた映像に色をつけたり、技術的な面でできることを試したりして。シリーズ ものの場合は、全体として伝えたいテーマみたいなものが、いつも簡単な漢字で思い浮かぶんです。例えば「成長」「発芽」「飛躍」だったり。いつも何か爆発するようなエネルギーに関連したものですね。


僕の映像のプロセスで言うと、最初の1分間だけでも、いつも種としてラフな部分を残すんですよ。それがちょっとずつ、どう成長して行くかを見るのが好きで すね。自分でも想像しなかったものにたどり着きたいという気持ちが常にあります。最初から最後までひとつのコンセプトでガチッと決まったものを作りたい訳ではないんですね。一枚の絵を5分間の映像でやっているような感覚なんです。最終的には見えなくなる下書きの部分もしっかり入れたいですね。後のほうがクオリティーが高いというよりは、全体を見た時に一枚の絵を見た時と同じ印象を受けられるものを作りたいのです。


だから『Birdland』の場合も、人の動きと鳥の映像を見ていて、こう作ろうかなって思うぐらいです。あと作品のためにわざわざ撮影にいったりはしないですね。最初から決めて作らないので、ろくでもないものが出来たりするときもありますよ(笑)。


どこから作品のインスピレーションを受けますか?

旅行ですね。年に3、4回は旅に出ます。つい最近ではネパールに行きました。 旅に出ると大体2つくらいのアイディアがまず頭の中に浮かびますね。特にメモやスケッチをとったり、撮影をする訳ではないんですが、ずっと気になっているものは、 それから最低半年または、1年以上してから作品として外に出てきたりします。


だから何か撮影する時は、無意識のうちに前に受けたインスピレーションに促されてしているんだと思います。インスピレーションは、まず1回発酵させて、自分でもトランス状態にならないとだめですね。自分だけど自分じゃないみたいな複雑な感覚じゃないと、自分の作品と思えないんですよ。


電子音楽やビデオアート、他のアーティストのライブのツアーに参加したりと 様々なことをされていますが、どの部分にプライオリティーをおいているのですか?

特に優先とかはしていなくて、その時にやりたいことをしています。大体交互にその波がやってきます。

どっちかに集中したら、もう片方はうっとうしくなってしまうんです(笑)。


8枚目のDVD『Coieda』について教えてください。

これは1年以上前に作った作品です。今までに出ているDVDの中では一番新しい作品です ね。それまでの作品は、コンピュータで作った音、生楽器の音、歌などが入っていてポッ プミュージック風だったりというように、別れてしまっていいて、それぞれに関連性がなかったんです。その時の気分によって全く違うものが出来るので。『Coieda』は、今まで分けていたものを全部一緒にして、地に足がついた作品になっていると思います。DVDとしては、今まで4年間やってきたことの集大成のような作品ですね。


映像に関しては、『world is so beautiful』が自分の思っていたことをすべて吐き出してしまったような作品だったので、最近はまた自分でも新しいと思えるような映像が作れるようになってきました。『Coieda』はそのちょうどその途中経過みたいなものですね。


今後はどんなことをする予定ですか?

今回ニューヨークの美術館で、素晴らしいアーティストたちの作品を久しぶりに見て思ったんですが、今までは狭い枠の中しか見えてなくて、そこで一番になったらいいって思ってたんです。まだ若いからこんなもんでいいだろって。でもこれからは40、50歳のすごい人たちとも対等な所でやっていかないといけないなと、初めて強烈に思いましたね。




text: Kazumi UMEZAWA

photo: Wallace Spain


高木 正勝 (Masakatsu Takagi)

ミュージシャン/映像作家

全国のアップルストアや、金沢21世紀美術館、東京都現代美術館、アニエスbショップなどでの作品上映のほか、細野晴臣と高橋幸宏のユニット『Sketch Show』やデビット・シルビアンの全米・ヨーロッパライブツアーにも参加、ドイツやニューヨークのレーベルからはアルバムもリリースし、UAやYukiといった有名アーティストのプロモーションビデオの制作も手がける。

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Can you tell me briefly about yourself and career?

I was born in 1979 and am from Kyoto. I was majoring in English at University of Foreign Studies, but I dropped out after a year. At that time, I was making a free paper, like a magazine, with the people I met at the college. I sometimes included an audiocassette in that free magazine. To my surprise, the magazine won the FM Radio Award. I was also doing photography at that time, so we decided to add some motion pictures to the music, which our members were making. Although, I started working on video like the extension of photography, I began enjoying it a lot.


I had about twelve footages, after I continued working on video for a year. The people in Tokyo happened to see my work. I then started releasing moving images on DVD. Since then, I began doing live performance at clubs. I had enormous positive feedback to the live performances. My sense of professionalism rapidly rose. I was not interested in clubs and techno to begin with, so I began creating music and screen images as my creation. At first, the music was only extra for the screen images, but there were a good number of people who said that my music was good. Right now, I do both music and video picture.


For your current exhibition, you displayed at Transplant Gallery; and your wife, Saeko, did at ATM Gallery, both at the same time. Can you tell me the process of these exhibitions?

The opportunity of exhibiting at ATM came first. As for Transplant, I’ve known them for some time because they have my DVDs placed at their gallery, so, taking this opportunity, we decided to do two exhibitors at the same time. Also, I wanted to show the promotion video, which I created for UA, as one of my creation at museums and galleries.


What was the reason to collaborate with UA?

UA saw my DVD piece “World is So Beautiful”. I had the offer from her. When I showed her the first project “Lightning”, which I created for UA, she told me it was different from what she thought (laugh). She told me that she was expecting that her promotional video was going to be like World is So Beautiful. She eventually said OK when the video was completed. I made Lightning after I had its proposal from UA, but as for the second project Color of Empty Sky, I approached her with the idea. Therefore, I created the second of UA’s project as one of my own project, so it was more like I borrowed her music. During the process of creating Lightning, I always made sure the UA’s ideas were included. On the other hand, Color of Empty Sky was constructed by all my ideas.


Were there no communications involved in the process of creating Lightning?

Lightning was a promotional video, so of course I had meeting with UA. She created her song, imagining that she was in light with absolutely no shadows. This image differed from my perception of the song. Also, I was understating Lightning as “flare,” but it was actually “lightning” as in thunderstorm (laugh). From that time on, we discussed many times.


I think most of your work has done by a computer and live-action image. Compared with that, your piece this time is a little different, isn’t it?

In the past, I was creating my work based on the moving pictures that I shot. After I created the videos for UA, I changed the formats and created some pieces, even though I was doing it in the same way.


World is So Beautiful was originally made for Agnes B (a retail store). What was the reason for that?

A person who worked at Agnes B saw my work by chance. Agnes B in Japan just wanted to do something related to arts. Then, they got an approval from Agnes B’s head office in France. There were no precedents; therefore, I could freely work on the project. Since I really liked the atmosphere in Agnes B’s store before I took a part in that project, I always thought it would be great if my video picture was placed there.


Can you tell me a bit about “Birdland” in World is So Beautiful?

I always get an idea in the middle of working on a project, after I started working on a project. Firstly, I add color onto the images I shot; and I try something I can do with it technically. If it’s a series, something like a total theme in simple Chinese characters comes up in my head. For example, sometimes it’s 成長(growth), 発芽(germination), or 飛躍(rise). It’s always related to explosive energy. If I see my screen image in terms of process, I always leave rough parts, like only the first one-minute. I like to see how that develops. I always have the feeling that I want to reach the place where I never imagined. I do not want to make the piece that has a solid concept from the beginning to the end. It’s more like showing one picture in five minutes’ footage. I want to include the drafts that cannot be seen in the final stage. Unlike making more high quality piece than the first image, when you entirely look at my piece, I want you to have the same impression as you see one picture. As for “Birdland,” I just had the rough idea by looking at people’s movements and images of birds. I don’t decide everything from the beginning, so sometimes; I make silly things (laugh).


Where do you get the inspiration for your work?

Travel. I travel three or four times a year. I just came back from Nepal. When traveling, I come up with about two ideas, especially in sketching and taking memos. I don’t shoot while at traveling. However, if the thing I saw during my trip stuck in my mind for a long time, it comes out as my project after at least half a year or a year. When I shoot, the inspiration from my trip pushes me to do something without my consciousness. Inspiration needs to be fermented once. Also, I have to be in a trance like condition; it’s me, but it’s not. Without that complicated feeling, I can’t think of my work.


You are doing various things, such as electronic music and video arts, and also joining other artist’s live tours. What is your first priority?

I don’t have any special preferences. I just do it when I want to do it. My feeling of what I want to create changes. If I concentrated on one part very hard, I always begin to feel that another part is annoying (laugh).


Can you tell me about your eighth DVD, Coieda?

I made this over a year ago. This is the latest of all my DVDs released in the past. Each of my pieces created before Coieda has a different taste. One has computer sounds; one has the sound of musical instruments; another one has songs, so it is more like pop music. They are all separated, no association. My projects were made depending on my egotistic feeling, so each project has totally different taste. For Coieda, I gathered everything that I separated, so it’s a more concrete piece. It’s a comprehensive compilation of my DVD creations for four years. As for the moving picture, I spit all my thoughts out in World is so Beautiful, so I can feel that I’ve begun making the pieces that have the new style. Coieda was the turning point.


What are you planning to do in the future?

I saw several pieces done by great artists at museums in New York City after a long absence. And then I thought about this: I was only in a very small world. So, I thought it would be great if I became number one in that small world because I am still young, but for the first time I felt strongly that I have to work on the equal stage from now on with those great people who are in their 40’s and 50’s.




text: Kazumi UMEZAWA

photo: Wallace Spain